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【第十七話-宿命-】

(コヒ編)

村民     「いや悪いねぇ。腰が悪くて何もできないんだよ」
コヒ     「いえいえwお世話になってますので気にしないで下さい」
村民     「そことそこの家具を隣の部屋にうつしてくれるかい?」
コヒ     「いいですよwこんな感じいいですか?」

数分後

村民     「おう、ありがとう、すまないねぇ。ちょっとお茶でも飲んでいきなさい」
コヒ     「あ・・はいwでは折角なのでお言葉に甘えさえていただきます」
村民     「この村はもう年寄りばかりで継ぐ者がいないし、消えるのは時間の問題なんだよ」
コヒ      「はぁ・・・そうなんですか・・・あ、ダム計画の話しってのは本当なんですか?」
村民     「ああ、本当だよ。たまに国の者がしつこくくるんだよ」
コヒ       「みたいですね・・・。なんとかならないんですか?」
村民     「無理だろうなぁ・・・何もする事ができないよ」
コヒ       「そうっすかぁ・・・良い所なのに寂しいですね」
村民     「君達みたいな若い子がきてくれて嬉しく思うよ。ありがとうな」
コヒ       「そんな・・こちらこそ感謝してますよ」
村民     「どうじゃ?おいしいだろ。この村で取れた作物をつかった和菓子なんだ」
コヒ      「めちゃめちゃおいしいですwところで、なんで村祭りの役者は女なんですか?
村民    「この村は女性が昔から生まれにくくてな、まあ色々言い伝えはあるけど」
コヒ      「ほうほう・・・」
村民    「お祭りの役者は女達なんじゃよ。げんかつぎにな。だから男は昔から下準備だけという仕来たりがあるんだ」
コヒ      「なるほど・・・女はどれくらいの比率なんですか?」
村民    「10人に1人ってとこかのう。だからこの血を継ぐ者は男が生まれやすく子孫もそろそろ途切れてしまう恐れがある」
コヒ      「そういうことってあるんですね。じゃあしょぼちんもその血が?」
村民    「そうだろうな。だから女の子が生まれた時は村一斉にお祭り騒になるんだよ」
コヒ      「なるほど・・・」
村民     「女が少ない分、仮に女に生まれても皆から期待され、その重圧からからか嫌になる子の方が少なくない」
コヒ       「そういえば若い女の子いませんね・・・」
村民     「しょぼちんのお母さんもここの村の出身なんだが、帰ってきてくれんのう。もう数十年は」
コヒ       「そんなにですか・・・そんなに大事にされているのに嫌になるもんなんですねぇ」
村民      「そりゃあな・・・少しの事で色々言われるからな・・・周りの者に。あれはするな。それはこうしろと。」
コヒ        「たしかにそれはちょっと重いですなぁ・・・」
村民      「皆、我子のように可愛がるのさ。僕の○○ちゃん。私の○○ちゃん。とな」
コヒ        「良いのか悪いのか・・・」

村民      「もう一つ言い伝えがあってな。この村には守り神として崇められる神様がいてな
         この村の血を継ぐ女は、その神様の生まれ変わりという事で物凄く大切にされ
         将来は村の新興の為に神の使いとして村に残り生涯を終わらす役目があると言い聞かせられる」

コヒ        「は、はぁ・・・w なんか難しい話しですね」
村民      「お祭りの話しを聞いておるだろ?あれはその神様を称える祭りなんじゃよ」
コヒ        「・・・なんとなくわかりました」
村民      「無理もない。当然女の子はそんなの嫌嫌といい、年頃になったら出て行ってしまう」
コヒ        「しょぼちんのお母さんも嫌になってしまったんですか」
村民       「まあ・・・そんなとこじゃ。私は昔から否定派なんだけどね。こういった集落にはこういう仕来たりが多いんじゃよ」
コヒ         「なるほど。でも、村に女性が何名かいましたよね?その方達が神様の使いなんですか?」
村民        「もちろんそうじゃ。形としてはな。ただ、神の生まれ変わりではないんじゃ彼女らは」
コヒ         「何故そうとわかるんです?」
村民        「これもまぁ村の言い伝えなんだが、20才になる最後の祭りでそれが証明されるんだよ」
コヒ         「どんなですか?」
村民        「もちろん私も見たことないが、言い伝えによると祭り終祭式の時に何かが起きる用じゃ
コヒ          「なんかおとぎ話みたいですねwその女役者って人が神様の格好をするんですか?
村民         「勘が鋭いのう君は。だが存知の通り、もう村には年老いた者、そして小学生の男の子が1人、女の子2人しかおらんのじゃ。
            だから村に居る女の子が毎年、神様の役を演じるんじゃよ。今年もきっと果緒梨ちゃんが演じるんじゃろう
コヒ          「そうですか・・・その果緒梨ちゃんって女の子が神の生れ変りだといいですね」
村民         「ハハハ。もう誰もこんなの信じておらんのだけどな。毎年の流れでやってるってかんじだよ」
コヒ           「お祭り楽しませていただきますねw」
村民          「ただもうこの村の終わりは近い。果緒梨ちゃんが20になるまでにはもう村は無いだろう」
コヒ            「・・・寂しいですなぁ・・・」
村民          「何も出し物とかはないけど、酒や料理は大盤振る舞いするからゆっくりしていっておくれ」
コヒ            「ご丁寧にありがとうございます」
村民           「いやいや、年寄りの長い話しに付き合ってくれてありがとうな」
コヒ             「いえいえw凄く興味深いお話しでしたよw」
村民            「んじゃまた後で祭りで会ったときはよろしくの」
コヒ            「はい、その時はよろしくです、では失礼します」