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【第二十一話-伝説-】

(破戒僧編)

破戒僧        「すみませーん 村長さんいるー?」
村長          「おおどうした、若いの。お前も釣竿が必要なのか?みんな湖いったぞ」
破戒僧        「いやそうじゃなくて、さっき車に戻ったんですけど、変な侵入者?をみたんですよ」
村長          「侵入者・・・?やれやれ・・・またか・・・」
破戒僧        「・・・?またとは?」
村長          「たまに、この一帯に伝わる財宝を探しにやって来るんじゃよ」
破戒僧        「財宝?徳川の埋蔵金みたいなやつ?」
村長          「そこまで大げさではないが、この村近辺に財宝が眠るという伝説があっての
破戒僧        「なるほど。姫の涙ですね」
村長          「なぜそれを・・・?お前まさか」
破戒僧        「あ、いや、おちついて。さっきの連中の話しを盗み聞きしただけ」
村長          「それはすまないすまない・・・てっきり仲間かと」
破戒僧        「勘弁してくださいよ・・・どんだけ疑いあるの俺」
村長          「申し訳ない。しかしこの村も色々と変な噂を立てられて迷惑してるんじゃよ」
破戒僧        「人無村だの、財宝だのってことですか?」
村長          「うぬ、他にも数々の噂があるんじゃけどな。アホくさい」
破戒僧        「誰がそんな噂を?」

村長          「それはワシにもわからんなぁ。村が嫌で出て行った者が作った工作かもしれんし
             他の村がここを気に食わなくて変な噂たててるのかもしれんしな」

破戒僧        「なんでそんな嫌われてるの?」
村長          「ダムを反対してるからのう。賛成派の村の方が多いんじゃよ」
破戒僧        「それを解決するのは難しい問題だな。で・・・姫の涙とは?」
村長          「ずいぶん熱心な子じゃのう」
破戒僧        「うん。そういうのスッゲー興味あるんよ」

村長          「・・・そうかそうか。その昔、この村には那津という女の子がおったんじゃよ
             その子はこの村の伝統を継ぐ家系の子孫でもあって、特別な存在でもあった
             だが悲しい事に儀式の生贄にせざるを得なかったのだよ・・・」

破戒僧        「儀式・・・?」

ダッダッダッダ

村長           「ん、誰かきおったのう」
しょぼちん        「村長~ タモどこ?あれ、破戒僧さん何してんの?」
破戒僧         「いや、ちょっと涼ませてもらってるんだよw」
しょぼちん        「ふーん」
村長          「それもっていきな。つれたんか?」
しょぼちん        「いや、さっきデカイの逃してさ。あ、あとテナガ海老の仕掛けあったけ?」
村長          「それは外の小屋にあるから探してみてくれ」
しょぼちん       「りょーかい!ちょ、急いでるからまたね!」
破戒僧         「どうやら釣り組は楽しんでるみたいだなw」
村長           「ああ、元気でいいことじゃ」

破戒僧         「んで・・・儀式とは?まさき昨日のが現実に・・・」
村長           「いやいやそれはない(笑)この村は深刻な女不足での、みんな悩んでおるのだ、未だにな」
破戒僧         「確かに・・・女少ないですね」
村長           「それを解消する為に伝統の血を継ぐ人間を湖に沈める儀式が実際にあったそうじゃ」
破戒僧         「まじかよ・・・すっごい残酷じゃんそれ」
村長           「でも・・・そうでもせんと女が生まれなくなり絶滅してしまうからのう」
破戒僧         「それが・・・伝統の血を継ぐ那津という子と・・・」
村長           「その通りじゃ、那津神様のお陰で今もワシ達の存在があると村民は信じ崇拝しておるのだ」
破戒僧         「今もその儀式はあるんですか?」
村長           「今はもうないよ。反対派意見の人間が多く儀式は無くなり、今は那津神慰霊祭という形で残った
破戒僧         「なるほど。で、というのは?」
村長           「それもその家系に代々伝わる古石でな、那津神様を沈める時に一緒に沈めたという伝説じゃよ」
破戒僧         「それをあいつらは求めて探していたと・・・では今でも湖に眠っていると?」
村長           「それはあくまでも伝説だからわからない。ただその説は高いと言われ噂になり、ああいう無礼な者達がたまに侵入してくるのじゃ」
破戒僧         「そういえば、あいつらほっといたらマズイんでは?」
村長           「まあ、すぐこりて帰るじゃろ。野生動物の宝庫でもあるからの、今頃熊に追いかけられてるじゃろ。ガハハハハ」
破戒僧         「銃とか持ってる可能性高いよ、相当強気だったから」
村長           「大丈夫じゃよ。何かあったら那津神様が守ってくださる。ワシ達はそう信じておる」
破戒僧         (大丈夫かよ・・・そんなのたかが伝説だろ)
村長           「ん?今、うたがったな?」
破戒僧         「えwいや・・」
村長           「若い者は正直じゃのうwガッハッハッハ」
破戒僧         (・・・ふう)
村長           「那津の力もあり、この村の血を継ぐ男達は人一倍女性を吸い寄せる力があるんじゃよ」
破戒僧         「子孫を多く残すようにと那津神様のメッセージですねこりわ」
村長           「まあこれも噂なんじゃけどな 噂、噂だらけの村なんじゃよ ガハハハ」
破戒僧         「うらやましい遺伝子ですね。俺もこの村の血がほしかった」

~破戒僧と村長はその後もしばらく世間話をした~

破戒僧         「色々とありがとうございました!俺も湖みたいしそろそろみんなの所いきます!」
村長           「ふぉっふぉっふぉ。気をつけていくんじゃよ。またお祭りで会おうぞ」
破戒僧         「はい!では失礼します!」

破戒僧は尻子達がいる湖へと向かった